BLACK WING THE FIRST MISSION PROLOGUE
ぼーっとしていれば空気と一体化できるのではないか。
そう思いながら空を眺めていた。澄み切った青を、白い綿菓子がマイペースにリズムを刻んでいく。そう連想させるような高い空だった。
ここは、この学校で一番高い場所。
最上階である四階の真上にある屋上であった。
今は授業中ではないが、誰もいない。ただ一人、彼女を除いては。
空を眺めたり、日当たりのいい場所で眠ったり。そういったゆったりとした時間を、彼女は好んだ。「まるで猫みたいですよ」と、仲良くしている後輩から突っ込みを受けることがしばしばあったが。
この時間を大切にしていたい。今までの人生を振り返ると、強くそう思ってしまうのだ。
一言で言えば、一般的な女子高生としては、普通ではない人生だった。多分、このような遭遇の高校生は、自分以外ありえない。
今思えば、信じられない十五年間だった。平穏になってきたのは、ここ一年のことだった。
やっと手に入れた、穏やかな時間。失うべきでない大切なもの。
それが今の日常だった。普通の生活。それを今まで切実に祈ってきた。そもそも今までときたら――
考えるのをやめた。過去なんて、いまはもうどうだっていいことだ。昔を考えるよりも、これからのことを考えるべきだ。進路とか、就きたい仕事とか。
空は相変わらずの快晴だ。雨の降るような予兆も見せない。五月の日差しは暖かくて昼寝をするのにはちょうどいい。
不意に、空に異変が起きた。雨が降ったわけではなく、急に曇りはじめたわけでもない。
黒い、小さな点がひとつ、空にできた。
黒い点は、どんどん大きくなる。そして見ているうちに、黒い点は空に出来たものでなく、空から降ってくるものだとわかった。
ゆらゆらと揺れながら、黒いものは降りてくる。数秒たった後、仰向けに寝転がっていた彼女の制服の上に、音もなく優しく落ちた。
黒いものは、一枚の羽根だった。
上体を起こして、自分の腹に落ちた羽根をつまみ上げる。
黒くて、それ以外はなんの変哲もない羽根だ。しかし、目に映るものは、なんとなく鳥のそれとは違う気がした。鳥臭さがない。かといって毛布などに使われる、人工的な羽根でもない。光を発しているわけでもないのに、輝いているように見える。
そして――
なんと美しいのだろう。ただの羽根だというのに、気位が高い。そのように思われた。
彼女は、その一枚に惹かれる自分を感じた。
「先輩〜!」
唐突に、少女の声が耳に届いた。顔だけを屋上の扉に向けると、見知った顔があった。ひとつしたの後輩、黒城可南だった。
「何眠そうな顔してんですか!もう昼休み終わりますよ!!?」
ああ、ごめんごめん。
そう言って彼女は慌てて言った。そして、慌てて黒い羽根を、制服のポケットにしまう。気に入ってしまったので、手に持っていたかった。
「早く行きましょう!授業が始まります!」
後輩にせかされて、ゆっくりと立ち上がる。名残惜しげに、もう一度空を見上げた。
ポケットの黒い羽根を、無意識に握り締めたまま、屋上を後にした。
誰もいなくなった空間に、五月の心地よい風が流れていった。
このとき、彼女はまだ知らない。
一時の、平穏な時間が奪われること。
自分にある、特別な力と才能のことを。
黒い羽根が、世界を変える。
多く手に入れたものが、世界を救う。
だから、これから始まるのは、黒い羽根をめぐる戦いである。
なかがき
2005年4月某日 クロサキのパソコンの前で。
いやぁ〜、三年間やるやるやると言いつつやらなくて放置しっぱなしだったシリーズ、ザ・ブラックウイング。
よく考えれば、この数行だけ書くのに三年もかかったんか!!って気分ですが、
ともあれ、序だけでも書けました。そしてクロサキは決めました。恥を捨てるということを。
今まで書きたいけど書けない、なんでだろう、と思っていたんですが、それはひとえに自分がダメだったんですよね。
いやぁあっはっは。もうこれは笑うしかないですねあっはっはっはっは。クロサキと、相棒のマメタさんで、ブラックウイングを書いてます。
といっても主人公は二人とも別々で、主要キャラもそれぞれ違います。
ストーリーも違います。でも二つの話でちょっとづつ絡ませながら書いていく、そういう方式で書いています。
だから「マメタさんのキャラクターがクロサキの方でもでてる」というような現象もしばしばあると思われます。そんなこんなで、楽しく書いていけたら・・・と思っています。
ブラウザバックでお願いします。
[★高収入が可能!WEBデザインのプロになってみない?!
自宅で仕事がしたい人必見!
]
[ CGIレンタルサービス | 100MBの無料HPスペース | 検索エンジン登録代行サービス ]
[ 初心者でも安心なレンタルサーバー。50MBで250円から。CGI・SSI・PHPが使えます。 ]
FC2 | キャッシング 花 | 出会い 無料アクセス解析 | |